VAWW RACとは

  • 「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター(Violence Against Women in War Research Action Center)、通称VAWW RAC(バウラック)は、1998年6月に発足して以来、13年間活動を続けた「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)を発展改称して、2011年9月に新たな第一歩を踏み出しました。

    女性国際戦犯法廷から11年を迎えた今、「慰安婦」被害者の女性たちの正義は未だ実現せず、女性への暴力も跡を絶ちません。こうしたなか、私たちはこれまで以上に日本政府などへの要請・抗議活動を行うと共に、これまでの10年で積み重ねてきた「女性への暴力」をめぐる調査や思想を受け継ぎ、正義の実現に一歩でも近づくためにより一層調査活動に力をこめていきます。
    とりわけ軍隊・基地と性暴力の問題、現在も日本社会に継続している植民地主義、根強い家父長制の価値観のなかで女性に課せられた従属の構造など、女性を取り巻く諸問題を一層鮮明にあきらかにしていきます。また、「慰安婦」問題は戦争中の出来事ではありますが、単なる過去の問題として、あるいは戦争という非日常の事件としてのみ特別視するのではなく、現在の女性への暴力に深くつながる日常の問題として考え、現代の女性への暴力の問題にも取り組んでいきます。
    さらに、これまで真相究明の課題にあがってこなかった日本人「慰安婦」の問題、戦争を遂行した国策企業の労務・炭鉱「慰安婦」問題等、戦時性暴力の構造を明らかにする上で重要でありながら十分に調査できなかった諸問題に向き合っていきます。こうした活動は、ワーキングチームを軸に展開していきます。

    2011年12月14日(水)は、毎週韓国ソウルの日本大使館前で開かれてきた水曜デモが1000回を迎えました。1992年1月に始まって以来、20年近い歳月が流れましたが、「慰安婦」問題は未だ解決には至っていません。それどころかアジア各地の被害女性の高齢化は一層進み、毎年多くの女性たちが亡くなっています。今年は、韓国憲法裁判所の判決を受けて、韓国政府が「慰安婦」問題の賠償についての協議を日本政府に申し入れてきましたが、日本政府は「65年協定で解決済み」との姿勢を崩していません。李・野田会談の行方が注視されますが、予断を許さない状況が続いています。
    一方、年々、「慰安婦」問題への関心は薄れ、中学歴史教科書からも記述が消えるなど、教育・認識を巡る課題は一層、大きくなっています。

    このような状況のなか、私たちは強力なメンバーを運営委員に迎えました。非暴力・平和・平等な社会の実現のため、シスターフッド・エンパワメントを意識しながら大きな展望を持ち、一歩一歩活動を進めていきます。