植民地支配責任



 


  • 1990年代に入って、「慰安婦」問題は韓国を超えて日本・アジアに広がり、そして戦争と性暴力の根絶を求める世界の女性運動の解決すべき課題になりました。その課程で、朝鮮人被害者、台湾人被害者を輩出した歴史的背景としての植民地支配の問題がクローズアップされました。2000年に開かれた「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」でも、占領地とは異なる植民地支配の問題が扱われました(南北コリア検事団は「強制的占領」と主張)。
    政府間レベルでも、河野談話(1993年)、村山談話(1995年)、日韓パートナーシップ宣言(1998年)、日朝平壌宣言(2002年)などに「植民地支配」という文言が登場し「反省とお詫び」が表明されるようになりました。しかしその一方で、元「慰安婦」被害者などへの謝罪の表明としての個人補償はなされておらず、「韓国併合」100年を前にした2010年「菅首相談話」でも言及されませんでした。またもう一つの当事国である朝鮮民主主義人民共和国との関係改善はまったく進んでいません。日本では、空前の「韓流」ブームの一方で、北朝鮮バッシング、「嫌韓流」「反韓流」がネット・直接行動も含めて勢いを増し、植民地支配肯定論・「慰安婦」否定・近現代史そのものへの無知識・無関心が根強く存在します。
    2010年12月の「女性国際戦犯法廷から10年」国際シンポジウム 後に東京外国語大学で行われたパトリシア・セラーズ講演会をきっかけに、日韓の研究者を中心に、植民地支配責任問題を扱うプロジェクトを発足するための準備を進めているところです。
    朝鮮人(及び台湾人)「慰安婦」問題を考える際に、日本の植民地支配責任を問うのは不可欠なので、VAWW RACの活動に、以上の論議を反映させていきたいと思います。