「法廷」の意義

 


    • 「慰安婦」制度という日本軍性奴隷制が女性に対する戦争犯罪であった真相を明らかにします。被害女性たちの尊厳を回復し、日本政府に戦争責任・戦後責任をとらせる手がかりとし、性奴隷制や強かんなどの戦時・性暴力が今後世界各地で繰り返されないよう、女性の人権が尊重される平和な新世紀を創ることです。
    • 「女性法廷」は「判決」を出して全記録を歴史に残します
    • 国際実行委員会が「法廷」憲章を作ってそれに基づいて審理します。戦争犯罪には時効はないというのが国際社会の考え方なので、アジア太平洋戦争中(1931-1945年)の性奴隷制など女性に対する戦争犯罪、人道への罪について、軍人や官僚などの個人の刑事責任と国家の戦争責任を裁きます。さらに戦後日本政府が戦争犯罪の証拠隠滅や被害者への賠償と加害者の処罰をしてこなかった戦後責任も問います。

      そのために、国際的な法律家が裁判官、検事、鑑定人などとなって、実例を審理します。各国の被害女性と旧日本軍人など加害者の証言と、各国での真相調査活動で集めた証拠資料をもとに、海外からも傍聴人を迎え、国際法に基づいた判決を得ます。しかし、国家による刑事裁判ではなく民間法廷なので、法的強制力はありません。従って、実際に処罰はできませんが、どのような処罰に値する戦争犯罪であったかを明らかにし、全記録を歴史に残します。


    • 2.戦時・性暴力不処罰の循環を断ち切るために
    • これまで戦時・性暴力はほとんど処罰されず、東京裁判でも「慰安婦」制度は戦争犯罪として裁かれませんでした。しかし、90年代前半、旧ユーゴやルワンダの内戦で国連が設けた国際戦犯法廷で強かんなどの性暴力が初めて裁かれ、責任者に有罪判決が出るようになりました。95年の北京世界女性会議の「行動綱領」には武力紛争下の強かんや性奴隷制などは女性への戦争犯罪であり、真相究明,被害者への補償、加害者の処罰をすべきだ」と明記されました。98年には国際刑事裁判所を設立する規定が採択され、女性への戦争犯罪を裁くことが盛り込まれました。続いて国連人権小委員会に提出されたマクドゥーガル報告には「戦時・性暴力の再発を防ぐために不処罰の循環を断ち切ろう」と「慰安婦」問題で国家補償と責任者の刑事責任追及を勧告しました。
    • 1.日本軍性奴隷被害者に正義と尊厳を!
    • 20世紀は戦争と女性への暴力に満ちた世紀でした。中でもアジア太平洋戦争中の日本軍性奴隷制(国連などで「慰安婦」制度をこう呼びます)は最大規模の悲惨な戦時・性暴力でした。

      半世紀近く沈黙を強いられてきた被害女性たちが、90年代になって、韓国、フィリピン、台湾、北朝鮮、中国、インドネシアなどで、相次いで名乗り出ました。正義と尊厳を取り戻そうと、彼女たちは日本政府に真相究明、公式謝罪、国家補償、責任者処罰などを求めてきました。そして、8つの損害賠償請求訴訟を日本の裁判所で起こしています。しかし、日本政府はいまだに、法的責任を認めていません。高齢化した「慰安婦」たちは無念の思いで次々に亡くなっていきます。その中には「責任者を処罰せよ」という絵を遺言として描き残した女性もいます。
    • 3.国境を越えた女性の力で開く民間法廷
    • ナチ戦犯を今も裁きつづけるドイツなど西欧諸国とは対照的に、日本では東京裁判以後1人の戦犯も裁かれませんでした。それどころか、侵略戦争や植民地支配を正当化し、「慰安婦」制度を肯定さえする勢力が強まっていることに私たちは強い危機感を抱いています。「自分たちに非があるのではなく、日本軍の戦争犯罪であったことを明らかにして,名誉を回復したい」という被害女性の願いに応えるためにも、世界の女性たちで国際的な民間法廷として日本軍性奴隷を裁く「女性国際戦犯法廷」を20世紀最後の月である12月に加害国日本の首都で開くことにしたのです。


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