準備書面一部掲載について講義と公開質問状

 


  • 日本放送協会会長 橋本元一 様

    7月20日、貴協会は貴協会のホームページにETV番組改変に関する控訴審に貴協会が提出した準備書面の一部「編集過程を含む事実関係の詳細」を掲載しました。係争中の裁判の内容について、一方当事者である貴協会の言い分のみを、国民に圧倒的な影響力をほこる巨大メディアとしての立場を利用して、確定した真実であるかのような体裁で不特定多数の市民に一般公開することは、公共放送を使命とする貴協会として、報道の「公平・公正」の原則の観点から不当であると言わざるを得ないものと考えます。

    掲載された準備書面の内容は今後、裁判において反論を行い、審理されるものです。にも関わらず、どのような事実関係について争っているのかの説明もないまま事実に反する部分や事実を曖昧にし、自己の主張のみを展開した準備書面を巨大メディアの力を以って一方的に流すことは、いかにも不公平・不公正であって、報道機関としての倫理を逸した行為であると考えます。

    仮に事実を報道するという趣旨であれば、裁判の争点や控訴人の反論も掲載すべきです。

    ETV番組改へん問題については、現在、東京高等裁判所で係争中の事案であり、司法の場で双方の主張立証に基づいた判断がなされることとなっています。このような係争中の事案であるにもかかわらず、貴協会が自らの一方的な主張のみを巨大メディアである貴協会のホームページを利用して広く流す行為は、自分たちの主張を「事実」として流布させ、既成事実化を図る効果を生じさせるものであることは明らかです。裁判の経緯や事実関係の争いの詳細を知らない多数の市民は、この一方的な貴協会の主張のみを読み、誤った認識を与えられることになります。

    一体なぜ、今、このような形で準備書面の異例な公表をされたのか、掲載意図を私たちにわかるように説明してください。また、私たちはこのようなやり方を容認するわけにはいきません。即刻、謝罪文とともにホームページから削除することを求めます。

    2005年7月22日
    「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)
    共同代表:西野瑠美子、東海林路得子