被害女性たちが語った戦後の生活
被害女性たちの戦後がどれほど苦痛に満ちていたか、その一人ひとりの心と体、生活に、どれほど無惨な影響を、今なお与えているかも証言によって明らかになりました。- 身体への影響
- 身体的には、強かん、拷問、暴力や性虐待による後遺症があります。体には、火傷や軍刀による切り傷などが今も残り、ほとんどの女性が性感染症や不妊症や心臓病など内臓疾患の病気に苦しんでいます。南京大虐殺当時6歳だった中国人の楊明貞さんは、幼児期に強かんされたため性器と泌尿器感を傷つけられ、おむつを外せない生活をずっと送ってきました。
また、後遺症が生まれてきた子どもにまで影響を与えることもあります。南北コリアからは慰安所で感染した梅毒のために戦後生まれた子どもに障害があったという証言もありました。 - 心への影響
- 当時の恐怖がくり返し夢に現れてうなされ、大声をあげて目が覚める、人の声に怯える、同じような場面に出会うたびにフラッシュバックを引き起こしてパニック状態に陥る、といった体験を多くの女性たちが語りました。この他にも、集中力の低下、疎外感、鬱病、対人恐怖症、男性不信など、様々なPTSD(心的外傷後ストレス症候群)に苦しめられているのです。
南北コリアから証拠提出されたビデオには「人が怖い。人と会うとびくっとする」「悪夢で眠れず、頭がへんになる。血圧も上がり、死にたいと思い屋上に上がったこともある」といった生々しい証言もありました。
当時心に受けた傷、トラウマ(心的外傷)は、歳月が経っても癒されることはありませんでした。 - 経済的貧困と社会的差別による孤独
- 証言した女性の中には、結婚しなかった、あるいは結婚生活がうまくいかなかった、と語る被害女性が何人もいました。
●フィリピンのトマサ・サリノグさん
「あらゆる求婚を断った。もし結婚すればあらゆることが再び起こるような気がしたから。もし夫が私を傷つけたらどうしたらいいのかと思うと、結婚する気にはなれなかった」
●台湾の先住民族イアン・アパイさん
結婚・離婚をくり返し、「慰安婦」の前歴が夫にばれるたびに暴力を振るわれ、離婚を強いられて、 「何度も自殺しようと思った」
●フィリピンのベレン・アロンソ・サグンさん
夫から、 「(日本軍の)使い古しの人間より使い古しの犬の方がましだと言われ続けた」
●オランダのオハーンさん
「慰安婦にとって戦後は終わっていない。私は自分がとても不潔で汚れていると感じ、大きな恥辱感を持っていた。女として夫との性生活を楽しむことができなかった」
家父長制下の貞操イデオロギーは民族を問わずどこの社会にも根強く、たとえ、夫の理解があっても被害女性は過去の苦しみを引きずっています。
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