「法廷」のルール、仕組みについて
「法廷」は、法廷憲章をきちんと決めてそれに沿って開催されました。まず、日本の法律家たちが、戦後の東京裁判、ニュルンベルグ裁判条例や、旧ユーゴ、ルワンダの国際戦犯法廷の規程、さらに、国際刑事裁判所規程などを参考に「女性国際戦犯法廷」憲章草案を、VAWW-NETジャパンのメンバーとも相談して作成しました。1999年春に開かれたハーグでの市民平和会議では、現代の武力紛争下の女性への暴力の問題に取り組んでいる「法廷」の国際諮問委員会の意見も聞きました。
1999年6月ソウルでの会議で、各国が検事団を結成することが決まり、それ以後は日本側草案を、各国検事団が検討しました。2000年3月の上海での国際準備会議、7月のマニラでの国際準備会議、9月の台北での国際準備会議で、検討に検討を重ねたうえで、最終案を決定したのでした。その過程でもどんな「法廷」にするか、議論がありました。検事団の最終案を、2000年10月ハーグで開かれた判事団会議でさらに修正して、最終決定したのです。
このように、各国の検事団、支援団体、判事団・法律顧問など「法廷」に関わった多方面の人びとの意見を集約して練り上げた「法廷」憲章に基づいて「法廷」が開かれたのです。- 条文では、
- 「法廷」が裁くのは、戦争犯罪、人道に対する罪としての強かん、性奴隷制など女性に対する犯罪で、個人の刑事責任と国家の責任の両方に管轄権を有しているとしています。個人の責任には、自ら性奴隷制のような犯罪を計画したり命令したりした実行責任と部下の犯罪に対する上官責任の両方が含まれます。
また、国家責任については、戦争中の国際法違反行為そのものと、そうした行為を不法に隠蔽したり、その行為の責任者の処罰や被害者への賠償をしなかったなどの戦後責任も含むとしています。
さらに、この「法廷」の判決を歴史的記録として広く世界に公表するべきだとし、また、判決を実行させるために、個人、NGO、政府、国連機関などに協力を要請できると書かれています。判決を生かすよう、「憲章」に沿った行動が求められます。
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